渓谷の光を映す水鏡。
全長750mのトンネル全体が「Tunnel of Light」というひとつのアート作品。
久しぶりに訪ねた清津峡は、見違えるほどのアートスポットになっていた。
清津川を挟んで、巨大なV字の柱状節理の渓谷がそびえる清津峡。
黒部峡谷、大杉谷と並ぶ日本三大峡谷の1つ。
清津川の水の音を聞きながら歩いていくとトンネルの入り口。
「大地の芸術祭2018」の開催にあわせて中国の建築事務所・MADアーキテクツの設計により
リニューアルされたトンネルは「Tunnel of Light」と名付けられた。
トンネル内も光の演出が。
第一見晴所。シンプルに清津峡の渓谷美を楽しむスペース。
第二見晴所。突然現れるメタリックな謎のドーム。
まったく予備知識なく行った私は、トイレの表示があったので使わせてもらったのだが、
恐る恐るスリッパに履き替え、中に入ってビックリ。 外が丸見え!
渓谷美を見ながら用を足すという、これもアートというものか。
入るにはちょっと気後れしたが、とても広くて眺めもいい快適なトイレだった。
不思議な印象の第三見晴所。
壁には「しずく」をイメージしたという赤い光を放つライトが点々と。
未来的な壁の向こうに太古の岩肌が見える不思議な景色。
そして、一番奥のパノラマステーション。
床いっぱいに張られた水に清津峡の自然美が鏡のように映る異空間。
壁一面に貼られたステンレス板にまたそれが反射して美しい。
トンネル一番の人気スポット。
張られた水の両脇の浅い部分を渡っていくと、ダイナミックな「柱状節理」の渓谷が目の前に。
「柱状節理」はマグマが冷えて固まるときに岩に入る柱状の割れ目。
他の場所でも時々見かけるが、なんともスケールが大きい不思議な造形だ。
川の脇に見える細い道は、昭和の時代に使われていた遊歩道。現在は立入禁止。
昭和63年の落石事故で遊歩道が閉鎖されてから、しばらく清津峡の景観を見ることはできなくなっていたが、
1996年「清津峡渓谷トンネル」が開通。そして2018年「Tunnel of Light」としてリニューアル。
今は国内外から大勢の観光客が訪れる人気スポットになった。
久しぶりに訪れた清津峡。
昔のように渓谷沿いを散策できなくなったのは少し寂しいが、
このトンネルから見る景色も、季節や時刻によってまた違った美しさを見せてくれるのだろう。