教室の中には、黒板を向いて小さい机と椅子が並んでいる。
ここに座っていたわけではないのに、なぜか懐かしい気持ちになる。
時の流れを感じる黒板消し。さすがにくたびれた様子。
一番手前の教室は「まなぶ部屋」として、昔の教室の様子が残されている。
玄関にもトイレにも近いこの部屋は、たぶん一番下の学年の教室だったのかもしれない。
この学校に通っていたわけでもないのに、
入った瞬間、ほっこり優しい気持ちになるのはなぜだろう。
大きな振り子時計。 時々動いているのにいつも時間があっていない。
現代とは違う時を刻んでいるのだ… と、ファンタジーっぽく解釈しておこう。
かなり大きい時計なので、鳴る音もさぞかし大きかったはず。
うとうとしている子には目覚ましになったかもしれない。
黒板の脇には弥彦村の地図。自分たちの郷土を知るのは大切なことです。
二人用の小さい机が4つ残っている。レトロな蓋式。
それにしても椅子が小さい! ここに座れるほど小さかったんだなあ。
実は、机の中のひとつだけ、蓋を開けると卒業証書が入っている。
本物だろうか。 どういう経緯でここにあるのかはわからない。
証書に書かれた女の子が生まれたのは大正五年とある。
その頃を舞台にした、今大人気の「鬼滅の刃」の時代設定に当てはめてみると、
おそらくこの小菊さんは主人公の炭治郎より15、6歳年下。
彼女が生まれたのは、ちょうど丹次郎たちが死闘の末に鬼の大将を倒した頃かもしれない。
この子は鬼のいない世界で平和に暮らしました、めでたしめでたし… となる。
でも、それはフィクションの世界の話。
現実には、彼女は戦争も経験して大変な時代を生きたことになる。
小さな椅子に座っていた女の子は、どんな未来を想像していたのだろうか…
棚に展示してある昔の教科書。 ゲタやゴトクが身近だった時代。
堂々としたダルマストーブ。私の時代もさすがにこれはなかった。(と思う…)
目の前の席ばかり暑くて、教室の後ろの席の子は震えていたはず。(それは知ってる)
歴史を感じる煉瓦の校門。
いつ行っても静かな「弥彦村ふるさと学校」。
他にも、昔の仕事道具やおもちゃなど、当時の暮らしが学べる展示もあって、
子供たちの社会科見学としても使われているようだ。素晴らしい。
でも、大人だからこそ感じられる懐かしさもあって、ずっと残っていてほしい場所だ。