角田山麓の小さな村々を通る旧街道。
静かな集落の道を進んでいくと、ちょっと趣のある神社があった。
昔、角田山の麓を北国街道(ほっこくかいどう)が通っていた。
港町として栄えた新潟から中山道の追分宿(軽井沢)まで続いていた旧道だ。
佐渡の金銀を江戸へ運ぶ大切な道で、多くの人や物資が往来していた。
松尾芭蕉や吉田松陰も歩いたとされ、当時はメインストリートだったのだが、
今は、知らない人からすれば、車や人の往来も少ないただの集落の中の細い道にしか見えないだろう。
その日は、桜満開でたくさんの人で賑わう上堰潟公園を散歩した後、
(公園は広いので「密」になることはなかったが)
なんだか疲れて、誰もいないところへ無性に行きたくなった。
そして自然とこの道へ。
集落の中、細い道を走っていくと、鬱蒼とした木々の向こうに鳥居が見えた。
脇に竹林もあってなかなか趣のあるたたずまい。なによりありがたいのは静かなこと。
伏部(ふすべ)集落の八幡神社(はちまんじんじゃ)。
参道は奥に長く、苔むした参道や石段が美しい。
観光スポットでも何でもない村の神社なので、期待通りの静けさ。求めていた静寂に会えてほっとする。
竹林に陽が差し込んで美しい。竹林って、なぜか気持ちがスッとする。
見上げるとまた気持ちいい。
竹林から引き返して参道へ。
緑ばっかりの境内に、キクザキイチゲがきれいに咲いていた。
鳥居の脇に祀られていた大きな石。
元々ここにあったのか、運んできたのかわからないが、ただならぬ存在感。
説明書きがどこにもなかったので、どういう石かは謎のまま…
階段を上がって奥の拝殿へ。
苔むした狛犬は、なかなかいいお顔をしている。
あ。
うん。
ちょっと変わった形のしめ縄だ。
静かな時間を楽しんだ。
目の醒める絶景も無いし、華やかな花が咲いているわけでもない。
でもこういう静かな場所って、やっぱり好きだ。
さて、気まぐれで来た旧街道。 もうちょっと先へ行ってみますか。
続く…