仏様なのに恐ろしい姿をしている「不動明王」。 でも本当は、人間を正しい道に導く慈悲深い仏。
そして、昔から「疫病退散の守護神」でもあった。
この小さな石仏があるのは、標高482mの角田山の麓にある「稲島（とうじま）薬師堂」。
県内に自生する草木のほとんどが見られるという自然豊かな角田山。
早春に咲く雪割草など、花の山として人気がある。
7つある登山コースの中で、最短の約1時間で山頂へ行けるのがこの稲島コース。
いろいろな野鳥も見れる自然豊かな山。熊はいないが、猿やイノシシは住んでます。
登山口からほんの数百m。ひときわ大きな杉と稲島薬師堂が見えてくる。
薬師堂は、「薬師如来」を本尊とする仏堂のこと。
薬師如来は、病気平癒などに効験がある「医薬の仏」として古くから信仰を集めてきた。
ここは登山道の脇にあるので、登山の無事を祈って立ち寄る人も多い。
ここへ来ると、いつも目で探してしまう石像がある。
あまり大きくはないが、なんだか惹かれる不動明王の石像。
不動明王は、仏の中でも最高位に位置する「大日如来」の化身ともいわれる偉〜い仏様。
顔は怖いが、決して戦いの仏ではない。
人間は、優しく諭すだけでは正しい道へ進むとは限らない。
不動明王は、あえて恐ろしい形相で人間を正しい道に導こうとしてくれている。
愛があればこその厳しい姿。
また、不動明王は「疫病退散の守護神」としても信仰されてきた。
昔から日本人は、疫病に苦しむ度に不動明王に祈り、薬師様に手を合わせてきたのだろう。
今、世界中で猛威を奮っているコロナウイルスも、
過去に襲ってきた多くの疫病と同じように、一日も早く退散してほしい。
ヒグラシの声があたりに響き渡っていた。
ちょっと物悲しいようなその声は、聴いているだけで心が澄んでいく。
社のすぐ脇にある、珍しい「一石三十三観音」。
三十三体の観音様を巡って満願を果たすという場所はよくあるが、
ひとつの石に三十三体の観音様を彫って、これひとつで完結！という、ちゃっかり（？）タイプ。
本当に古いものは、全国的にも一部の地方を除いてあまり見られないという。
これはそれほど古いものではないようだが、細かく彫られた細工に見入ってしまう。
三十三通りに彫られた小さい観音様が並んでいて、ちょっとかわいい。
境内にそびえる「稲島の大杉」。
ここに来て真っ先に目に入るのはこの巨木だろう。
高さ22m、周囲6m の大樹で、樹齢はおよそ1000年。境内に力強く根を張っている。
５０年くらい前に落雷にあったらしいが、今も樹勢は旺盛。
空に向かって力強く枝を広げている。
こういう大樹って、見ているだけでパワーをもらえる気がする。
近くて、人がいなくて、涼しげな所へ行こう…
この日、たまたま頭に浮かんだのが稲島薬師堂だった。
でも来てみれば、コロナウイルスが蔓延する今の状況下に、見て、感じておきたいものがそこにはあった。
医薬の仏、薬師如来を祀る薬師堂。
疫病退散の守護神、不動明王の石仏。
そして、千年を生き抜いた大杉のたくましい生命力…
何かが、ここへ来なさい、と呼んでくれたのかもしれない… なんてね…
この日、ヒグラシの声に癒されながら、実は、次々と襲ってくる蚊と戦っていた！
ここの蚊は真っ黒いヤツ。蚊も生きるため、子孫を残すために必死。
振り払いながら写真を撮っていたのだが、多勢に無勢、両腕をしこたま刺された…
幸い駐車場のトイレの前にしっかりした洗い場があったので、
プツプツ膨らんだ腕をゴシゴシ、ゴシゴシ、洗い流した。
すると、なんということでしょう…
あれだけあった刺し痕も痒みも、家に着く頃にはすっかり消えたではありませんか！
やはり、薬師様のパワーだ、たぶん…
本日、１回目のワクチンを接種してきました。
現代の「疫病退散の守護神」といったところですね。
３時間経過して、今のところ副反応らしき症状は見られず… この調子、この調子…
