水鏡の上を、ゆっくりと流れていく霧…
龍ヶ窪の幻想的な景色。
この池には、いくつかの龍神伝説が残っている。
この森に棲む龍が、日照りで苦しむ村人の意を汲んで、三日三晩雨を降らせてこの池を作ってやった。
「この池はお前たちの美しい心の象徴だ。しかし、人の心の曇るとき、この池は涸れるだろう」と言い残して消えた。
村人はこの池を「竜ヶ窪」と名付け、神社を建てて龍神を祀り、大切にしてきたという…
今日まで涸れずにいるということは、人々の心が曇っていない、ということですね。
逆に、この水をじっと見ていたら、心の曇りも晴れていきそうだ。
霧は、濃くなったかと思えば、また消えていく。
特に夏の早朝、気温に比べて湧水の水温が低いため、霧が発生しやすいらしい。
池の水深は1.5〜2mほど。
透明な水で水草がはっきり見えるので、とても浅いように感じる。
水の湧き口はいくつもあって、その量は、毎分30トン、1日で43,000トン。
数字を言われてもピンとこないが、「池の水が毎日入れ替わる」と聞くとちょっとびっくりする。
決して濁ることがない池は、環境庁の「全国名水百選」にも選ばれている。
池のまわりはブナやミズナラなどの広葉樹の森。
深い森に包まれているので、木陰が多く、
湧き水の冷気もあってか、少しひんやりした空気が気持ちいい。
遊歩道を奥まで進むと、見えてくるのは「八大龍王権現」。
竜ヶ窪には二つの社があって、そのうちのひとつ。 遊歩道はここで行き止まりになる。
遊歩道を歩いているとあまり水辺に近づけないが、
この社の前では澄んだ水を間近に見ることができる。
水辺にいるとなんでもきれいに見えてくる。
八大龍王権現。この社の裏からも水が湧き出している。
やっぱり水辺は楽しい。つい時間が経ってしまう。
ということで、続く…