秋風に揺れるコスモス。そよそよと風に揺れる姿はたおやかで優しい。
すっかり日本の秋の花。
上堰潟公園のコスモスが咲いていた。
まだ少なかったが、この花を見ると、秋だなあ、と思う。
この公園は、春になると桜や菜の花が咲き誇る。
満開の桜は、なんかウキウキするような高揚感があるが、
コスモスの風景はそれとは違っていて、見ていると気持ちが静かになっていく。
それは花の持つ雰囲気もあるだろうし、
これから冬に向かう、秋という季節の寂しさのようなものを感じるせいかもしれない。
この日は風がけっこう強かった。 少しの風で、コスモスの花は右へ左へ、手前に奥に…
長く細い茎はとてもしなやか。ゆらゆらと風を受け流している。
濃いピンクは「乙女の愛情・調和」。 薄いピンクは「乙女の純潔・優美」だそうです。
元々コスモスは、明治時代に日本にやってきた外来種。
かよわい姿とは裏腹に、倒れてもまた咲き始めるたくましさを持っていて、日本全国に広がっていった。
今では、野山で風に揺れるコスモスを見ると「日本の秋風景」そのものに思える。
もはや原産地はメキシコと聞いてもピンとこない。
遠目から見た時は、まだ咲き始めだし、花が少ないのは当たり前… と思ったのだが、なんだか様子が違うぞ。
確かにまだ蕾も多かったのだが、それ以前に本数自体が減っている…
代わりに多くなっているのは、ノゲイトウ。
ノゲイトウは、ニワトリの赤いトサカのような花を咲かせるケイトウの仲間。
これも高温と乾燥に強く、荒れ地でも育つたくましさを持っている。
以前から、このコスモス畑の隙間に少しだけあったのは憶えているが、畑の様子は一変していた。
場所によってはノゲイトウの隙間からコスモスが出ている感じ。
増やしているのか、勝手に増えているのか、これは「コスモス・ノゲイトウ畑」と呼ぶべきかも。
でも、優しいピンクのロウソクみたいな花がニョキニョキ出ているのは結構かわいい。
スーッと伸びたコスモスとの相性もいいように思え、これはこれで楽しめた。
でも、そのうち「ノゲイトウ畑」になってしまわないか、ちょっと心配になる。
よく見ると、無数の小さな花でこの形ができているノゲイトウ。
チョウもたくさん飛んでいた。
この記事を書いていてもそうなのだが、
「こすもす」と打ち込んで変換すると、当たり前のように漢字の「秋桜」が出てくる。
外来種で日本古来の漢字名など無かったこの花に、この名前が定着したのは、
あの曲の影響らしい。
薄紅の 秋桜(こすもす)が 秋の日の…
山口百恵さんが歌った「秋桜」。 この曲を作ったのは、さだまさし。
コスモスを「秋の桜」に見立て、日本的情緒を醸し出すあたりは、彼らしい。
歌は大ヒットし、かくして「秋桜」なる当て字は、今やパソコンで変換できてしまうほどの市民権を得た。
さだ、恐るべし。
秋風に抗わず身をまかせ、たおやかに揺れる秋桜。
その花はまるで
苦労はしても 笑い話に 時が変えるよ 心配いらないと 笑った ようだった。
(さだ、うまいな)