それは屋敷に漂う優雅な雰囲気からくるものか、
広い庭の静かな美しさからくるものか。秋の風情に包まれた回廊へ。
新発田市の「市島邸(いちしまてい)」。
明治初期に建てられた、新潟県内有数の大地主・市島家の邸宅。
市街地から離れた田園地帯に建ち、優雅なたたずまいを今に残している。
敷地は8,000坪、建坪は600坪という広大なもので、その繁栄ぶりがよくわかる。
池を配した回遊式庭園「静月園」は、四季折々の風情を感じる広い庭。
とりわけ秋は美しい。
紅葉も終盤で、すでに散ってしまった木も多かった。
でも逆に、間引かれて残った葉になんだか風情が感じられた。
敷地内の資料館には市島家に残る大量の所蔵品が展示してある。
建物にモミジがよく似合う。
スケールの大きな紅葉名所は他にもあるが、
ここはなんだか秋の風情が強く感じられて、ゆっくりしたくなる。
次はお屋敷の中へ。
正面の玄関からは入れないので、奥にある見学用の入り口から。
中へ入るとまず目に飛び込んでくる渡り廊下。
庭を見ながら、まっすぐ伸びた廊下を歩いて行くのは気持ちいい。
左側はたくさんの部屋が続いている。
池に面した茶室、賓客を接待した数奇屋造りの水月庵。
庭を眺める贅沢な空間。
正面玄関から外を望む。奥には見えるのは表門。
洋風の部屋に置いてあったYAMAHA製のオルガン。
昭和初期、市島家は地元の小学校の増改築の際、費用の大部分を寄付した。
その時に併せて小学校に寄贈したオルガンが、78年の時を経てここに戻ってきた。
ピアノっぽくて高級な感じ。
子供の頃、私の家にあったものとは、品格が違うなあ。
商いのやり取りをしていた帳場の机。
この家の番頭は教養のある精鋭部隊で、多い時で30人程いたらしい。言わば組織の中枢部。
いつのものか判らないが、レトロなラジオが置いてあった。
陽の当たる回廊を進んでいく。
邸宅の一番奥にあるのは、広さ93畳の南山亭。そこがまた庭が見える気持ちいい場所で…
市島邸、後半へ続く…