連続洞門、加治川治水ダムを楽しんで、次に向かったのは「内の倉ダム」。
山や川も美しく、気持ちいい道だ。
途中、道沿いに「景勝清水」という湧き水があった。
なるほど、道の反対側からは加治川の流れや山々の美しい風景が望める、名前のとおり景色のいい清水。
てっきり眺めがいい場所にあるから「景勝清水」なのだと思ったら、まったく違っていた。
「けいしょう」ではなく「かげかつ」だった! お許しくだされ〜
上杉景勝は、上杉謙信のあとを継いで越後を治め、豊臣政権では五大老のひとりだった武将。
NHK大河ドラマ「天地人」では、妻夫木聡さん演じる直江兼続の主君で、北村一輝さんが演じていた。
「利家とまつ」では里見浩太朗さん。「真田丸」では遠藤憲一さんが演じている。
演じる俳優によってまったく違うキャラになるのが面白い。
案内板によれば、
戦国時代末期、景勝が新発田氏の赤谷城を攻める際、この辺りに陣を張った。
景勝が、水を探して槍の柄で突いたところ、清水が湧き出した!
その水で乾きを癒した兵は戦意が上がり、新発田勢八百名余りを討ち取り、
みごと赤谷城を落城させた…… という。
杖をついて清水を出せるのは、弘法大師だけかと思ってましたが…
景勝公、恐るべし! (その時は美輪明宏さんが演じていたとか、いないとか…)
水の出口はなぜかペットボトル。水が出る筒を保護しているのかな。
クセが無く、とても美味しい水だった。
さあ、清水を飲んで戦意も上がった(笑)。 向かうは「内の倉ダム」。いざ出陣!
ダムヘ向かう途中、景色がいい橋があったので車を止めた。
加治川の清らかな流れ。
この橋から200mほど上流で、ダムから流れてくる内の倉川が合流している。
橋のたもとに涼しそうに咲いていた花たち。
空を映す田んぼ。
内の倉ダムに到着! 満々と水を蓄えている。
内の倉ダムは、中空重力式コンクリートダムといって、内部が空洞になっている。
中に500人を収容できるほどの大空洞があって、
音の反響が良いことからコンサートが開かれたりするらしい! どんな響きなのだろう…
中空重力式コンクリートダムは、
コンクリートが高価だった時代、コンクリートの量を節減するために生まれた工法。
基礎地盤との接地面を広く取れ、安定性が高いが、とても複雑な構造が必要だった。
その後、コンクリートの価格が下がり、より経済的な新しい工法も考え出され、
現在では複雑で人件費がかさむこの方式は採用されなくなった。
この内の倉ダムは、国内最後の中空重力式コンクリートダム。
この日は、残念ながら工事中で、ダムの上を歩くことはできなかった。
ダムの左岸を支えているのは要害山というきれいな形の山。
名前からわかるように、昔、笠萱城(かさがやじょう)という城があったらしい。
今は簡単に車で来れてしまうが、当時は山奥の険しい山だっただろう。
ダムカードを模したフレームが立っていた。
「ここで写真を撮ってね!」ということなのだろうが、どこをどう切り取るのが正解なんでしょう?
車に戻る途中、不意に、ムッとする草いきれのような、シロツメクサの匂いに包まれた。
野山でよく見ている花だが、ここまで濃い匂いは何十年ぶりだろう。
一瞬で子供の頃にタイムスリップしたような感じになって、足が止まった。「匂い」ってすごいもんですね。
普段あまり来ることのないエリアだったが、
神秘的な連続洞門、広々とした景色のダム、美味しい清水など、いろいろ見れて楽しい散歩だった。