里山の草花を撮りながら園内を散歩。
雪国植物園の続きです。
この雪国植物園に来ると、いつもボランティアの方々の姿がある。
園内の整備、草花の手入れなど、ほとんどが年配の方々。
散策する人より作業している人の方が多かった、なんて寂しい日もたまにあるのだが(笑)、
年間を通して入場者が絶えることはないようだ。
特に春の雪割草や秋のヒガンバナの時期は、早い時間から駐車場がいっぱいになることも。
写真を撮っていると、公園の整備をしていたおじさんが話しかけてきた。
草むらを指差して、
「あれ蛸の足」
「タコノアシ…?」
「ほれ、それ」
指差す方に、まっすぐ伸びたあまり目立たない草が。
わざわざ教えてくれるのだから、きっと珍しい草なのだろう。
お礼を言ってから、草に近づいて先っぽを見ると…
びっしりついた小さな赤い花が吸盤みたい。なるほど、蛸の足。
言われなければ気づかなかった自然の造形。おじさんに感謝。
花を見ながら木道を歩いていると、
「そこ、入らないでー」と、遠くの方を注意している声が聞こえた。
ひとりの女性が、ヒガンバナを撮るのについ夢中になったのだろう、張ってあるロープの中に足を踏み入れてしまったようだ。
女性もすぐに「すいません」と謝って、そのあとは和やかムードに。
ボランティアのおじさんが花の説明をしていた。
作業をしている年配の方々には、気さくな人が多いようだ。
来園者に花の名前を教えているのをよく見かける。
自分たちが守っているという自負もあるだろうし、人が来てくれるのは、やはり嬉しいに違いない。
園内はかなり広く、網の目のように遊歩道も整備されていて、奥まで登れば山城跡もある。
この日は、お目当てのヒガンバナも見たし(終わってたけど…)、
天気も今ひとつだったので早めに切り上げることに。帰りは林の道を歩いて行こう。
きれいなグラデーション。きのこにも年輪があるのだろうか。
蜘蛛の巣にひっかかった葉っぱ。
下に落ちずに思い思いの姿勢で森に浮かんでいる姿を、さて、自由と見るか、束縛と見るか。
見る側の心のコンディションによるかもしれませんね。
私はこの光景を見た時、「自由な葉っぱたち」と思いました。
きっと美味い葉っぱなんでしょう…
長岡市は雪が多い地域なので、この植物園は冬季は休園。
以前、雪の多かった年、春の開園直後に来てみたら、まだ多くの雪が残っていた。
咲いている花はほとんどなかったが、林の中ををザクザク歩いていくのは気持ちよかった。
不安なく雪の上を歩けたのは、ちゃんと管理された森という安心感があったから。
荒廃していく里山が多い中で、ここには人の手が入り、ずっときれいなまま残っている。
そして必要以上に自然に踏み込まず、草木が育ちやすい環境を守っている。
いつも人の息遣いを感じる幸せな里山だ。
これからもこのままの姿で残ってほしい。
せめて年に何回かの入場料で協力していかねば。(微々たる奉仕だな)