NIIGATAさんぽびと

カメラを持って出かけよう

ツチノコの思い出

 

 

人を寄せ付けないような急峻な山に囲まれた笠堀ダム。
50年前、ここでツチノコを見たことがあって。

 

 

三条市の山間部にある笠堀ダムへ。


昭和39年に完成した、新潟県が管理する重力式コンクリートダム
平成23年7月の「新潟・福島豪雨災害」を受けて、
洪水調節能力を強化するため、高さを4メートル嵩上げする工事が行われた。
久しぶりに訪れてみると、確かに上の部分が新しくなっていて、きれいなトイレや駐車場もできていた。

 

 

笠堀川上流の険しい山岳は、特別天然記念物ニホンカモシカの生息地として知られている。
原始性の保たれた自然豊かな地域だ。

 

 

もう50年近く前の話になるが、ここでツチノコを見た。


その頃起こっていた一大社会現象、ツチノコブーム。
全国で様々な目撃証言が報告された。
何メートルも飛ぶとか… タイヤのように転がるとか… ツノを出すとか… 猛毒を持っているとか…
未知の生物への興味は高まり、手配書まで登場し、全国でツチノコ探しが始まった。

 

当時、中学生だった私も、もともと生き物が好きだったこともあり、
矢口高雄さんの漫画「バチヘビ」なんかも、ワクワクしながら読んでいた。
ツチノコ、バチヘビ、ノヅチなど、呼び名は日本各地で様々)

 

 

そんな中学生だったある日、
学校のクラブの親睦バスハイクで、この笠堀ダムへやってきた。

その頃の中学男子といえば、体だけは大きいが、ツチノコブルースリーに夢中な子供。(注:個人差があります)
ダムの景色を楽しんだ後、
ツチノコブルースリーが好きな(似たような精神年齢の)もう一人と、
ツチノコ探検隊だー」などと言いながら、ダム湖右岸の道を歩いていった。

 

もちろんシャレで、二人とも面白がって歩いていっただけ。  だった……

 

 

道が森に入っていくあたりで、足元で 「ガサッ…」と音がした。

反射的に音の方に目をやると…
道の脇の草むらに頭を突っ込んでいる変なものが!

 

 

頭は草の陰で見えないが、太い胴体、短い尻尾…
体の表面の感じはヘビだが、形が全く違う。

驚きのあまり立ちすくみ、ただ、その変な生き物を見つめていた。
時間にしたらほんの数秒だっただろうか。
ツチノコ探検だ」などと口では言ってはいたが、もちろん本気じゃないし、何の覚悟もない二人。
どうしたかって?

 

逃げ出したんです。みんなのいるダムの方へ一目散に。
ツチノコが出たー!」と叫びながら。
みんなには信用されず、「またぁー」と馬鹿にされたが、
実際、生で見てごらんなさい、ビックリして逃げますよ。(子供だから)

 

 

そんな思い出のダムを訪れたこの日、
目撃した場所へ行こうとしたら、立入禁止になっていた。

当時、こんなゲートは無かった。
こ、これはひょっとして…
ここを管理する新潟県が、ツチノコの生息区域を隠しているとみて、まず間違いあるまい…

 

 

目撃した湖畔の道をダムの上から眺める。
今は4m嵩上げしたダムの高さに合わせるため、道の手前側に土が盛られ砂利が敷かれていたが、
その先のちょうど森の中に入っていくあたり。
水位は今より少し低かった。

 

 

50年前の第一次ツチノコブーム以降も、何度かブームが起こり、
その度に全国各地で捜索隊が結成され、高額な懸賞金まで登場した。
まあ、捜索隊という名の「イベント」に集まった大勢の前に、のこのこ現れるとは思えないし、
「生け捕りにしたら1億円」という法外な懸賞金も、
「見つかるわけがない」というスポンサーの思惑が見てとれる。

でも、そのチラシ、捨てずにとってありますよ。「期限なし」って書いてあったから……

 

 

しかし、そんな集客イベントとは別に、大真面目に探し回った人は大勢いたはずなのだ。
にもかかわらず、未だにツチノコは一匹も捕まっていない…

 

冷静にその事実と向き合えば、
最初から存在しない生き物なのだ、という見方が出てくるのは当然のこと。
自然への畏敬が生み出した、人の心の中だけに棲む生物…
全国各地の目撃証言も、そして私と友人が見たものも、違う生き物を見間違えただけだろうと言われたら、
反論できる材料はない… 「見ただけ」だから。

 

でも、その時の足元の光景は、今も目に焼きついている。
ツチノコを見たことがあるか」と問われたら……  もちろん「Yes」だ。

 

 

今度現れたら、首にぶら下げたカメラが火を吹くぞ。
その時のためにいつも高倍率ズームを付けていたのだ。(これはうそ)
今も大事にとってあるチラシには「写真提供は10〜100万円」と書いてある。
ヘビは苦手なので生け捕りはムリだが、写真を撮って懸賞金ゲットだ。ふふ。
でも、この古いチラシ、ホントに有効…?

 

 

しかし、
この先、どこかで本当にツチノコが目の前に現れて、その姿を写真に収められたとしても、
できれば場所は明かしたくない。
人が押し寄せ、自然が荒らされるのは目に見えているから。

 

 

今もどこかに潜んでいるかもしれないツチノコ
たとえこの先も見つからなくても、「絶対にいない」という科学的証明がなされない限り、
私のような人間の心の中に潜み続けていくだろう。

久しぶりに懐かしい場所を訪れ、そんなことを思ったのでした。(中学生か!)

 


とりとめのない思い出話でしたが、今回が今年最後の記事となります。
一年間、ご覧いいただきありがとうございました。
寒い日が続きます。皆様お体に気をつけて。 良いお年を。