田園に囲まれ、水豊かで、多くの水鳥がやってくる上堰潟公園。
それは洪水調整のために復元された、一度は姿を消した潟だった。
春は桜や菜の花。夏はひまわり。秋はコスモス…
季節の花が美しく咲き、一年を通して多くの人が訪れる上堰潟公園。
広々とした景色が気持ちよくて、私も時々散歩にやってくる。
60年ほど前まで、まだ整備される前の上堰潟は、季節によって大きさが変わっていたらしい。
春になると角田山から雪どけ水が流れ込み、季節限定の大きな潟が出現。
その広さは現在の10倍以上。本来の範囲をはるかに超えた一帯が水に浸かっていたという。
水が多い時期は、地元の集落の人は、家の裏口から釣りができるほどで、
田に行くために舟に乗って行ったらしい。
その後、1960年前後に始まった土地改良事業によって用排水路の整備を進めた結果、
潟に流れ込む水がしだいに減少。そして潟は干上がってしまった。
藪はジャングルのようになって、狸がでるやら兎が出るやら大騒ぎだったらしい。
今の様子からは想像できない。
長期にわたって乾いた原野になっていたが、1993年からの整備事業によって潟が復元された。
目的は脇を流れる西山川の氾濫を防ぐため。
つまり現在の上堰潟は、一度は姿を消したが洪水調整のために復元された人工の潟。
それまでの湖底を3mほど掘り下げて貯水量も増やした。
大雨により川の水が増えると、潟の端にある洪水調整堰から川の水が流れ込むようになっていて、
芝生広場も水没するらしい。(そんな状態を見たことはないが)
たくさんの人が楽しむオアシスは、実はそういう使命を持っている。
気持ちのいい1周2kmの遊歩道は、いざという時は堤防になる。
そんな状況にならないことを願ってますが。
そんな目的で造られた公園だが、普段の姿はとってものどか。
黙々と歩く人、ジョギングしている人、景色を見ながらのんびり歩く人、
いろんな世代の人が思い思いに楽しんでいる。
成り立ちを知ると、また違った目で景色を楽しめる気がする。
年々、来園者の数が増えている公園。
春の桜、菜の花、夏のひまわり、秋のコスモスなどがテレビや新聞に出ると、翌日や週末には大混雑。
それが悩みの種だという地元の方の声が「上堰潟ガイドブック」にも載っていた。
それだけ美しい公園ということなのだが、うまくいかないもんですね。そういう私も花見客の一人だし…
上堰潟公園、もう1回続きます。