ノスタルジックな空間に浸りたくなると、つい足が向く駅舎。
小さな廃線駅で静かなひとときを楽しんだ。
カメラ片手に静かな時間に浸りたい時、なんとなく足が向く場所。
森、池、川、公園、城跡、校舎…
近くてお気に入りの場所はだいたい決まっていて、この駅もその中のひとつ。
旧月潟駅は、1999年4月に廃止となった新潟交通電車線の駅舎。
廃線から20年以上経つ今でも、守り残されている場所。
この日、駅に到着すると、なにやら機械で削るような大きな音がしていた。
保存されている車両と駅の維持管理や活用を行っている「かぼちゃ電車保存会」の方々が
車両の補修をしているようだった。
補修作業をされていた「モハ10形 11号」は、沿線住民の貴重な足として活躍した旅客電車。
使われなって20年以上も経てば、艶もなくなりあちこち痛んでいくはずだが、
ボランティアの皆さんのおかげで、ここにおいてある車両はどれもきれいな姿を保っている。
たくさんの通勤・通学客を運んでいた車両。
この鉄道を運行していた新潟交通はバス交通がメインの会社。
新しく出来たパンフレットを見たら、この車両にはバスの部品があちこちに使われているという。
前から不思議に感じていたが、やっぱりこれ、バスの両替機だ。
同じかぼちゃ色をした隣の車両は「モワ51形 51号」。
昭和初期のスタイルを伝えるレトロなデザインで、11mとやや短めのボディが可愛い。
動力を持ち、沿線で収穫された米や野菜、果物の輸送に活躍していた貨物車両。
1982年に貨物輸送が廃止になった後は、冬場にラッセル車を押す役目を務めた力持ち。
昭和8年生まれだが、時々塗り替えてもらっているので、外観はとてもきれい。
中に入ると、木の床の感触が気持ちいい。シンプルな操作機器。まあ、さすがに年季を感じますが…
米や野菜を積んでいた車内には、今は古い看板やプレートが展示されている。
一番奥にあるのは、真っ黒なラッセル車「キ100形 116号」。
冬の鉄路を30年以上守ってきた鉄の塊は、重厚感にあふれている。
昭和7年製造だが、これも痛んだ箇所を塗り替えられているおかげで、朽ちた感じがしない。
高い位置にある運転席の窓には、雪を弾き飛ばす丸い「旋回窓」。
動力を持たず、隣のモワ51号に押されて走っていたので、この運転台からモワ51号の運転操作ができるように改造されていた。
冬の線路を守った2台は、仲良く繋がれて展示されている。
こうして写真を並べてみると、全体像がわからないカットばかり…(笑)
もう何度も来ているので、目の前のものにただただカメラを向けております。
そしていつものように、次は駅舎へ続きます…