ライトアップされた藤を見たくて「北方文化博物館」へ。
光に浮かんだ藤棚は、いい香りに包まれていた。
新潟市江南区にある「北方文化博物館」は、
越後の大地主・伊藤家の歴史と地方文化を当時の姿のままに伝える豪農の館。
8,800坪の敷地に、65の部屋がある母屋は1,200坪。
敷地のまわりは土塁や塀、濠で囲まれ、土蔵づくりの門、総欅づくり唐破風の大玄関など、
現存する新潟の豪農の屋敷としては最大規模。
中庭には、見事な藤棚があって、毎年たくさんの人が訪れる。
中門から入って目に入ってくるのが、なまこ壁が美しい集古館。
大正時代に造られた米蔵で3,000俵の米を備蓄していたという。豪農、すごい。
集古館の脇の道を入った先にも藤棚があるというので、ちょっと寄ってみた。
花はまだ咲き始めだったが、長く垂れ下がった房が幻想的だった。
夜の庭園の風情を楽しみながら、いよいよ大藤棚の方へ。
ライトアップされて浮き上がる80畳の広さの大藤棚。藤のいい香りが漂っている。
藤棚の下に入れば花のシャワーのよう。
樹齢150年、幹まわり1m60cm以上の藤の大木。
この屋敷ができる前から育っていたこの木を中庭に移植したところ、
豊富な地下水のおかげか、どんどん枝を伸ばし、現在のように成長したという。
畳80畳以上もある藤棚は、この一本から広がっている。
これだけの花を咲かせていることに驚かされる。
うねるように伸びる姿は、生命力の塊だ。
ボリューム感のある藤の花だが、ひとつひとつの花びらは直径2cmほど。
藤の花の花言葉は「優しさ」「決して離れない」「恋に酔う」など。
恋愛にまつわる言葉が多く、古くからロマンチックな花とされてきたようだ。
花は上の方から順番に咲いていく。かんざしのようでかわいい。
藤棚の脇には土産物屋や食事処が並んでいる。
藤を見上げる人、お土産を買う人。平日にもかかわらず結構な賑わいだった。
5月初旬に咲き始める藤の花は1〜2週間ほどで散ってしまう。
その頃になると藤棚の池は花びらで埋め尽くされる。
昼間の華やかな姿とは一味違う、妖艶さを漂わせる夜の藤でした。