銀山平へ来るといつも歩くブナ林へ。
新緑も紅葉も、いつ歩いてもブナの林は癒される。銀山平のラストです。
銀山平キャンプ場の脇に広がるブナ林。
新潟県のブナ林といえば、十日町市の「美人林」が有名ですね。
ここは、その名にあやかったのかどうかはわからないが、「美女林」というらしい。(誰も知らないかも)
美人林ほどの規模も知名度もないが、その分、静かで好きな場所。
曇り空のブナ林はしっとり見えた。
奥へ進むにつれてだんだんブナが多くなっていく。
端正な立ち姿のブナが並ぶ美人林と比べると、こちらは少し雑木林っぽくて野趣がある。
何より気に入っているのは、あまり知られていないので静かに散策できること。
ザッ… ザッ… 落ち葉を踏みしめる音が響く。フカフカで気持ちいい。大きいのは朴の葉。
木肌が明るいブナは、曇りでも森が明るく見える。
ストライプだったり、斑だったり。一本一本、色や模様が違うのがいい。
そうこうしていると、青空が広がって陽が射してきた!
今までしっとり見えていた森が、急に明るくイキイキしてきた。日の光ってすごい。
陽を浴びて、葉も幹も一層きれいに見える。
以前も書いたが、ブナを漢字で書くと「橅」。
これは木ではない、という意味から「木」に「無」と書く。
木を単なる建築材としか見なかった時代につけられた、かわいそうな名前。
ブナ材は狂いが激しく建築材には向かない。
その上、奥山に生えているため、わざわざ運び出す理由もない、役に立たない木とされた。
「ぶんなげる木」から「ぶな」になったという説もある。
ブナ林は次々と伐採され、代わりに建築材に適したスギが植えられていった。
ブナは成長の遅い木。
よく「桃栗三年、柿八年」と言われるが、ブナは実をつけるまでに50〜60年かかるらしい。
その実はそこに住む動物たちにとって、大事な森の恵み。
建築材には向いてないかもしれないが、ブナの森にいるとなんだかほっとする。
それに、大量の水分を地面に貯め込むことができる「天然のダム」の役目もあるし、
しなやかな幹は積雪に強く、雪国では「雪のダム」にもなっている。
現代になって、ようやくその価値が見直されている木。
落ち葉の道に木の影が伸びてきた。 さてそろそろ帰ろうか。
遊歩道の入り口に建っているのは「尾瀬三郎」の像。
平清盛と一人の女性をめぐる争いに敗れ、都を追われこの地に流れ着き、
尾瀬ヶ原や尾瀬沼の発見者と語り伝えられる人物。当時の旅は大変なものだっただろう。
最後の長い階段を降りていく。一段の幅が狭くて急勾配なので、慎重にゆっくりと。
久しぶりの銀山平。
曇りの時間が多くて残念だったが、最後に光が射してくれた。自然からのご褒美だ。
夕日を浴びた山々に見送られ、(後ろ髪を引かれながら)また長いトンネルを走って帰った。
銀山平、これにて終了。ご覧いただきありがとうございました。