ブナを漢字で書くと「橅」。 これは木ではない!という意味から「木」に「無」と書くのだそうだ。
木を単なる建築材としか見なかった時代に決まってしまった、ちょっと気の毒な名前。
ブナ材は、狂いが激しく、加工が難しいため建築材には向かないらしい。
さらに、奥山に生えているため運び出すのも困難で、なおさら役に立たない木とされた。
「ぶんなげる木」から「ぶな」になったという説もある。 散々な言われようだ。
でも、今では、その価値が見直されているのは周知のとおり。
ブナの森は「天然の水ガメ」とか「緑のダム」と言われ、雨水や雪解け水など大量の水分を地面に貯め込む。
フカフカの落ち葉が蓋のような役割を果たし、蓄えた水を逃さない。
さらに、しなやかな幹をもっていて積雪に強い。
だから新潟のような雪深い地域では、「雪ダム」の役目も果たしている偉い木なのだ。
そして、何より、美しい。
新緑も紅葉も、ブナの森にいると気持ちがいい。たくさんの人を癒してくれる。
「木じゃない木」なんて失礼な名前、今だったら絶対にならなかっただろうに。
今年は、2年続けてブナの実が凶作で、熊が餌を求めて人里に出没している。
一般の木は、動物たちに実を全部食べられてしまうのを防ぐため、豊凶の波が定期的にあるらしい。
でも、ブナの周期は気まぐれで、去年と今年のように2年続けて凶作もありうるし、次の豊作は何年後かわからないという。
(銀山平 美女林)
来年は実が豊作になって、熊は山にいてほしいなあ。 あっ、でもこっちがブナ林に行くから同じことか!