海に沿うように奥へ続く細い道。海辺にある多伎神社への参道。
義経伝説も残る、海の女神を祭る社へ。
天気がいい日、村上市の多伎(たき)神社へ。
ちょうど日本海に三面川が流れ込むあたり、
奥に見えるこんもりとした木々の中に、海を望むように社が建っている。
海のすぐ脇を歩く参道や、社殿周辺の神聖な雰囲気が好きな場所。
車を止め、細い参道を歩いていく。天気がいいので、海がとてもきれいだ。
道の左は海、右は鬱蒼とした樹林。 海にせり出すように大きな木が覆いかぶさってくる。
考えてみると、海と森を両方感じながら歩くこの参道は、とても贅沢な気がする。
でも、そんなふうに思えるのは天気がいいから。
海が大荒れだったら… 冬の吹雪の日だったら… 行く勇気はございません。
2本目の赤い橋を渡っていくと、
多伎神社に到着。
目の前は海。背後は断崖。この窮屈な場所によく建てたものだ。
背後を鬱蒼とした樹林に囲まれて、神域の空気が漂っている。
でも「怖い」感じにならないのは、やはり目の前に海が広がっているからだろう。
お気づきの方もいるかも知れませんが、
案内板や説明板には「多伎」、鳥居の扁額(看板)には「多岐」。 字が違う……
赤い社殿が海を向いて建っている。
小さいけれど、千年以上も前の平安時代に書かれた文献にも登場する由緒ある神社。
現在の社殿は明治15年(1882年)に建てられたもので、
その前のものは安政2年(1855年)の火災で焼失してしまった。
祭られているのは、海の女神「湍津姫命(たきつひめのみこと)」。
古くから、漁や航海の安全を願う人々から信仰されてきた。
海を見下ろすこの場所で、タキツヒメはずっとその平穏を見守っている。
この多伎神社には「義経伝説」も残っている。
「義経の舟隠し」とか「弁慶の手掘り井戸」とか、
いわゆる「義経伝説」が日本各地に残っているが、ここもそのひとつ。
義経一行が奥州に落ち延びる途中、この神社に立ち寄った。
そのとき、ここからの眺めに感動した弁慶が「さても麗しき景色かな」と絶賛して
「観潮閣」と名付け、その名を大書して社殿に掲げたという。
近くに「弁慶の硯り石」と名づけられた岩もあるとか…
まあ、ファンタジーの世界なので疑いっこなしで。ホントかも知れませんよ…
大きな建物が並んでいるのは瀬波温泉。
三面川の奥には、雪が残る山々も見える。
海がキラキラきれいだった。
この神社にはもう一つ見所がある。
社殿の手前、鬱蒼とした木々の奥にある不動滝。小さいけれど趣のある滝で…
もう一回続きます。