NIIGATAさんぽびと

カメラを持って出かけよう

冬の笹川邸へ Ⅰ

 

 

新潟には豪農の館と呼ばれる大邸宅がいくつも残っている。
この旧笹川家住宅もそのひとつ。

 

 

新潟市南区にある「旧笹川家住宅(笹川邸)」へ。

 

他にあまり行くところが無くなるせいか、冬場になると不思議と足が向く。
周囲に堀をめぐらせた約6,000坪の広大な屋敷は、国の重要文化財
笹川家は、江戸時代に、味方組と呼ばれる8つの村を束ねる大庄屋を代々務め、
年貢のとりまとめや、警察・裁判権を行使していた名家。

 

 

玄関は4つもあって、身分や用向きによって使い分けていた。
現在唯一使われている出入り口は、家人や使用人、行商人が使っていたもの。
中に入ると薄暗い土間が広がっていて、ひんやりしている。

 

 

硬く踏みしめられた凹凸に長い時間を感じる。

 

 

廊下にたくさん置かれていた筒状の道具は「獨龍水(どくりゅうすい)」という消火器。
筒の中に水を入れ、外筒を前後にスライドさせて空気を圧縮し、水鉄砲のように噴射するらしい。

実は、この笹川邸も約200年前の火災で、表門や蔵以外を全焼している。
大きな木造住宅にとって火事は大敵。現在の建物はその後再建されたもの。

 

 

広間の欄間や襖にあしらわれているのは、「米」の字を図案化した「卍くずれ紋様」。
越後の大庄屋らしい粋な紋様。

 

 

襖や床の間がこの紋様で統一されている「三の間」は、村上藩主が来たときに休憩に使った部屋。

 

 

よく見ると、意匠を凝らした6種類の釘隠しが部屋によって使い分けられている。
上の写真は「三つ巴」。下は「末広」。
他に「二羽鶴」「三つ扇」「三つ瓢箪」「花菱」があって、探して歩くのも楽しいかもしれない。

 

 

奥の縁側から柔らかな光が入って。

 

 

こういう空間にいると心が落ち着く。本日も貸し切りであります。

 


縁側には雪囲いがされていて、それもまた冬場の風情。

 

 

時折、小さな雪が降ってくる。

縁側の戸は開け放しで寒いのだが、それも心地いい。
のんびりと続きます…