昔、山あいの小さな集落があった場所。
人が去り、荒れ地と化していた水田跡に、きれいな湿原が広がっている。
阿賀町上川地区の山あいにある「たきがしら湿原」へ。
ここは新潟県と福島県の境に近い山の奥。緑豊かな広葉樹に囲まれた人工の湿原。
それほど広くはないが、春から秋にかけて、素朴で可憐な花が楽しめる。
周囲の森には散策路も整備され、様々な動植物が生息する自然の宝庫。
気持ちいい新緑の季節。天気がいいので久しぶりに訪れた。
湿原から流れ落ちる水の音が響いていた。
湿原を見渡す展望塔へ。
中には休憩スペースがあり、説明パネルが飾られている。
デッキからは湿原を見渡せる。
かつてここには「滝首(たきがしら)」という集落があった。
この湿原は水田として耕作されていた場所。
水田耕作している頃の滝首集落(展示パネルより)
山奥の小さな集落は、時代とともに過疎が進み、後継者もいなくなった。
最後は5戸を残すのみとなり、昭和51年(1976)に上川村の九島地区へ集団移転。
人が去った水田は、3メートルを越すカヤやヨシが生い茂る荒れ地になった…
人も来ない山奥の荒れ地を、自然観察のできる場として再利用しようと、
地元の阿賀町が平成3年から5年にかけて整備し、この「たきがしら湿原」が誕生した。
可能な限り石、土、木を用い、小川は自然体系を保つため、すべて自然石で組むなどの配慮がされた。
こういう場所は全国でも珍しく数例しかないのだとか。
在来の自然種を主体に60種ほどの植物が植栽され、木道も付けられている。
小さいがきれいに整備された湿原。
湿原に降りて、木道を歩いていく。
水辺を埋め尽くしていたのはミツガシワ。
ちょうど見頃でたくさんの白い花を咲かせていた。
春先の清楚な印象とはずいぶん違うミズバショウ。ワイルドだろ〜
おいしい空気を吸いながら、湿原散歩は後半へ続きます…