長岡市上岩井の集落に、小さいながら趣のある観音堂がある。
以前訪れた時、静かな雰囲気が気持ちよかったので、また立ち寄ってみた。
木々に囲まれた細い階段を登っていく。
車が往来する道路から境内は見えないので、気づかず通り過ぎる人がほとんどだろう。
道路から少し入っただけで、空気が変わったように感じる。
寺の母屋の脇を通って奥へ。
境内は高い木に囲まれていて、あまり陽が当たらない。時々、光が射すとホッとする。
石段の奥にあるのが観音堂。
根立寺(こんりゅうじ)観音堂。
木に囲まれて建つ小さなお堂は、再建されて160年の歳月を経ている。
江戸時代後期に建てられた御堂建築の遺構として貴重なことから、昭和47年に長岡市の指定文化財になった。
お堂の前に植えられたモミジ。こういう場所によく似合う。
観音堂の屋根は、当初は桧皮葺きだったが、後に瓦葺きに、昭和になって今のトタン葺きに変わったらしい。
寺の創建は不明だが、越後三十三観音 第十八番札所となっている。
観音堂の前に立って、すぐに気づくのは見事な彫刻。
1857年に再建された観音堂は、鳥越の大工長谷川氏の作と伝わる。
江戸時代の建築としても貴重だが、各所に施された彫刻がこの観音堂の見どころ。
田舎の小さな寺社などでは、彫りが浅く簡略化したものも多いが、
この観音堂の彫刻はどれもしっかりとした造形で見ごたえがある。
あまり訪れる人もいない小さなお堂で(失礼)、見事な彫刻に出会うと得した気分になる。
市の指定文化財になったのもうなずける。
車を走らせていて気まぐれで立ち寄っただけなのに、つい長くなってしまった。
まあ、こういう場所は好きなのでしょうがないか…
後半へ続きます。