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豪農の館、目黒邸へ Ⅱ

 

 

200年以上経った今も、当時の記憶をそのまま残す邸宅。
目黒邸の続きです。

 

 

新潟には、繁栄を極めた「豪農」と呼ばれる家がいくつかあって、目黒家もそのひとつ。

 

目黒家は会津武士の流れをくむ豪農で、
江戸時代初期から近郷の村々を束ねる総代庄屋を、
江戸時代後半からは糸魚川藩魚沼領の大庄屋職である割元庄屋を代々務めていた。
明治から大正にかけて、親子二代にわたり帝国議会衆議院議員として国政にも参加。
大正期には、165町歩、小作人総数325人という、魚沼地方屈指の農地を保有していた。
明治32年には広瀬銀行を設立している。

 

 

藩の重役等の宿泊場所として使われた奥の座敷。

 

 

縁側から庭を眺めながら、雪の多い年だったらどんな景色なのだろうと考えた。
雪深い土地なので、雪の壁しか見えないかも…

 

 

縁側の奥にあった風呂場。

 

 

200年前の趣を残している目黒邸では、
浅野ゆう子さん、松方弘樹さんなどが出演した映画「蔵」や、
妻夫木聡さんが直江兼続を演じたNHK大河ドラマ天地人」のロケが行われている。

 

 

映画「蔵」の台本。

 

 

大河ドラマ天地人」の最終回では、
直江兼続が晩年に設立した、米沢藩の学問所「禅林文庫」という設定で目黒邸が登場。

 

当時、家でテレビを見ていたら、主人公が学問所の縁側に腰掛けているシーンが映った。
ん? 
かすかな既視感を覚えて画面を注視していると、建物部分が少しだけ確認できた。
目黒邸とバレないように、撮り方も工夫して、建物に多少の細工もしていたようだったが、
拙者は見抜いておりましたぞ。そこが目黒邸であることを… ふふふ… 
(だからどうしたって言わないで)

 

 

ロケ当日は、学問所に通う生徒や農民役として地元市民がエキストラで参加したらしい。

 

 

建物の一番奥にある離れのような部屋は、「橡亭(ちょてい)」と呼ばれる新座敷。
目黒家が隆盛を極めていた明治34年に建てられ、茶室や書院も備えている。
床の間に栃(橡)の一枚板を使っていることからその名がついたらしい。

 

 

この時は雪囲いされていたが、池や広い庭を見渡せる、眺めのいい部屋

 

 

雪に負けない剛健な造りの目黒邸だが、
建てられた年代が古いこともあって、過度に贅を尽くしたという印象はない。

 

私財を投じ、地域の開発にも尽力した目黒家。
現在魚沼市守門を貫通している国道252号線の整備や、国鉄只見線の敷設の基礎も作った。
また、農業開発や教育文化の振興にも力を注ぎ、多くの功績を残している。
お金があるから出来たと言われればその通りなのだが、
こういう名士の力が、雪深い地域の暮らしを支えていたのは確か。

 

 

200年経った今も当時の姿をとどめる目黒邸。冬に来たのは初めてだった。
越後の豪農の歴史を伝える存在として、これからもずっと残していってほしい。