まわりを住宅地に囲まれたこんもりとした森の中に、二つの池がある。
新潟市東区にある「じゅんさい池公園」へ。
東池と西池、二つの砂丘湖を中心とする「じゅんさい池公園」。
元々この一帯は広い砂丘地で、
海からの強い風で砂丘が削られて、窪んだところに水が溜まって池ができた。
池の周囲は赤松などの木が茂り、遊歩道が整備されている。
昔、この池にジュンサイが繁茂していたことから、「じゅんさい池」の名がつけられた。
駐車場から、まずは東池へ。
時期になればスイレンで覆われるらしいが、ちょっと寂しい冬の池。
50年くらい前まで特産品として収穫されていたジュンサイは、
土地区画整理による松林の伐採や宅地開発などによって湧水が減少し、池が枯れたため絶滅してしまった。
その後、工業用配水池から水が供給されるようになり池は復活。
そして新潟県内の笹神村からジュンサイを移入した。
現在は西池で見れるらしい。
木々に覆われた池のほとり。
まわりは住宅地なのに、なかなかどうして、ここにいると森林浴気分を味わえる。
途中、脇の石段の奥にあったのは豊武(とよたけ)稲荷神社。
青々とした榊が供えられていた。
東池と西池を結ぶ真っ直ぐな道。高い木が並んで気持ちいい。
昔は二つの池の途中に、中池というもう一つの池があったらしいが、今は面影はない。
もうひとつの池、西池。東池よりも大きくて明るい感じ。
池には水鳥たちがたくさんいて、のどかな雰囲気。時期になれば、ジュンサイの葉に覆われる。
池の奥、住宅地へ続く緩やかな登り坂。
海に近いこの一帯、今では宅地化のために砂丘が削られ比較的平坦になっているが、
昔はかなりの高低差がある複雑な地形だった。
池の奥には標高28mの砂丘の高まりがあって、なんとスキー場があったという!
そのスキー場は、物見山スキー場あるいは河渡スキー場と呼ばれ、
初心者向けの緩斜面から、上級者向けの急斜面まであったという。
上手く止まれないと下の池にジャボン! だったとか(笑)
この池には、スキー場以外にも面白い歴史があって…
温泉でもない砂丘湖なのに、ここには湯治場があったという!
東池と西池それぞれに湯治宿があって、ポンプで汲み上げた池の水を沸かしていたらしい。
湯治って温泉がなくてもアリなんだな…
この池の水で皮膚病が治ったという話が広がったのが始まりで、
いつしか、この池の水はどんな病気にも効くと言われるようになった。
湯治客は自炊をしながら1週間から10日滞在し、周辺の農家の人たちも利用していたらしい。
昭和39年の新潟地震の際も地域の人達が大勢利用したという湯治宿は、
昭和50年まで続いたそうな。
今は、鳥たちの湯治場? (水ですが)
おぉ、いい水加減じゃあ〜 極楽極楽… と思っているかは知りませんが。
住宅地に囲まれた森では、犬を連れている親子や年配のご夫婦など、多くの人を見かけた。
意外な歴史を持つ二つの砂丘湖は、現在は地元の人々の憩いの場になっている。