凛とした青紫の花が咲き誇っていた。
古くから秋の七草として数えられる桔梗だが、咲くのは暑い夏。
天気のいい日、長岡市の国営越後丘陵公園・里山口へ。
「里山フィールドミュージアム」と呼ばれるそのエリアは、
里山の自然をそのまま活かし、森や水辺の植物と触れ合えるのどかな場所。
人で賑わう正面玄関側と比べて訪れる人も少なく、いつも静か。
この時期、「里山交流館 えちごにあん」の屋上に植えられた桔梗が一斉に咲き誇る。
2年前に初めて訪れた時は、たくさんの桔梗の花に驚いた。
暑い日だったが、せめて桔梗の涼しげな色を見て、視覚だけでも涼しく。
秋の七草にも数えられる桔梗。
日本の在来種で古くから日本人に親しまれてきた。
生薬としても利用され、根に多く含まれる「サポニン」が鎮痛、解熱、咳止めの効能があるとか。
反対に昆虫にとっては有毒なため、食害から自分を守っているらしい。
凛とした花は昔から縁起が良いとされ、武士にも好まれていたらしく、
戦国武将、明智光秀の「水色桔梗」の家紋は有名。
本能寺で、その桔梗の旗印に囲まれ「是非に及ばず…」と言ったのは織田信長。
「永遠の愛」「誠実」の花言葉を持つ花が旗印だったというのは、なんだか皮肉めいた話だ。
星形が美しい桔梗だが開花直前の姿は独特。花びらが互いのふちでくっついたまま膨らんでいく。
その風船のような姿から「balloon flower」とも呼ばれる。 つんつんしたくなるぞ。
ジリジリ照りつける太陽。小さなスプリンクラーが一生懸命回っていたが、焼石に水のような… がんばれ。
あちらこちらにヤマユリが咲いていた。
日本に古くから自生するユリで、白くて大きな花は夏の野山でも存在感抜群。
数あるユリの中でも、ヤマユリは「ユリの女王」と呼ばれているそうな。
白地のセンターに黄色の筋、赤紫色の斑点模様がとてもゴージャス。
花びらは6枚に見えるが、実は外側の3枚はガクで、本当の花びらは内側の3枚だけ。
見た目は6枚とも一緒だが、重なり具合で見分けられる。
女王様は華やかなだけでなく、蜜はとても甘く、香りも強いのでアゲハチョウやガがよく集まってくる。
夜になると、ガを引きつけるために香りがさらに強くなるという。
長いメシベのまわりに、6本のオシベがゆらゆら。撮ってる方も暑さでゆらゆら。
照りつける太陽の下、桔梗の青紫とヤマユリの白だけは涼しげだった。
さて、せっかく来たんだから隣の「花湿地」も覗いて来ようか。
したたる汗を拭きながら、続きます…