NIIGATAさんぽびと

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二千年ハス

 

 

二千年の間、地中にうづもれていた種から発芽した大賀ハス
世界最古のハスを見に出かけた。

 

 

胎内市大賀ハス(二千年ハス)が咲く池へ。

 

池の場所がよくわからなかったので、とりあえずこのあたりだろうと「板額ほたるの里」に車を止めて歩き出す。
板額ほたるの里は、春にはしだれ桜が咲き、
他にも水芭蕉水仙レンギョウユキヤナギなどを楽しめる静かな場所。
山から流れてくる水路もあって、名前のとおり、ほたるの名所でもある。

 

さて、池はどこだろう… まあ、散歩だと思って歩いてみよう。

 

 

板額ほたるの里の前の道には、約5000本のアジサイが植えられている。
しかしこの日も暑かった!
アジサイもお疲れ気味だが、私もすでにお疲れ気味…

 

 

池があるのか不安になりながら歩いていくと、ありました!
小さな池にハスの葉がびっしり。

 

 

開いている花は少なめだったが、優しいピンクのグラデーションが美しい。

 

 

ハスは植物のなかでも、もっとも古いもののひとつで、
およそ1億4000万年前に、すでに地球上に存在していたらしい。

 

この大賀ハスは、大賀一郎博士が、二千年の間、地中に埋もれていた3粒の種を掘り出して、
枯れずに残った1粒から繁殖させたもの。
命って、そんなに長い時間とどめておけるものなのか。

 

 

この種は植物の中で最長寿の記録を持っていて、
世界最古のハスとしてアメリカのライフ誌にも掲載されたという。

 

 

開き始めの花。グリーンの蕾はピンクの花へ。

 

 

泥の中から出てくるのに、こんな清らかな花を咲かせるハス。
花言葉は「清らかな心」「神聖」。

 

 

花が散った後の花托(かたく)。蜂の巣のような、たくさんの目のような。

 


まだつぼみも多くあった。

 

 

池の向かいの林の中にあったのは熊野若宮神社

 


ハスを眺めるように建っていた「板額御前(はんがくごぜん)生誕の地」の碑。

 

知らない方が多いと思うが、「板額御前」は、平安〜鎌倉時代に活躍した女性で、
この地に攻め寄せた鎌倉幕府軍に弓矢で立ち向かった、戦うヒロイン。
弓の腕前は「百発百中だった」といわれ、数で圧倒する幕府軍を苦しめた。

巴御前」「静御前」とともに、鎌倉時代を代表する女性「三大御前」のひとりと言われている女傑。

 

その中で、女傑として一番知られているのは、
NHK「鎌倉殿の13人」で秋元才加さんが演じた「巴御前」だと思うが、
実は架空のヒロインだったという説が有力で、板額御前がモデルだったのではないかといわれている。
戦いのあと捕えられ、鎌倉将軍の前にひき出されても臆さない凛とした姿に、
敵方の武将が嫁に欲しいと願い出て…
という巴御前のエピソードは、記録が残されている板額御前の生涯とまったく同じ。

 

 

越後平氏の流れを汲む一族に生まれ、源氏との戦いの中で親兄弟を次々と亡くし、
女性の身でありながら、武将として一族を守らなければならなかった「板額御前」。
苦難を生き抜き、最後は女性としての平穏な暮らしを得た彼女の生涯は、
泥の中でも清らかに凛と咲く蓮の花と、少し重なるようにも思える。

 

 

暑い日だったので、境内の木陰がありがたかった。

 

 

個性的な文字が気になった石碑。書いてあるのは「湯殿山」?

 

 

ずっと木陰にいたくなったが、よし、そろそろ戻ろうか…

 

 

太陽がジリジリ照りつける帰り道。
奥に見える山々は櫛形山脈。日本一小さい山脈で、板額御前が守ろうとした「鳥坂(とっさか)城」は、その中にある。

 

 

二千年の間、命を長らえてきた大賀ハス
その逞しい生命力を持つ花は、とても優しい色をしていた。 そして今日も、暑かった…