泥水の中からまっすぐに伸びて、清らかな花を咲かせるハス。
逞しい生命力を持つ花は、とても優しい色をしている。
ここは有名な桜の名所で「日本三大夜桜」として知られる公園だが、
夏になると、広い外堀はハスの花で埋め尽くされる。
ハスの花を見るなら午前中ということで、朝一番にやってきた。
あいにく空はどんよりしているが、花を撮るにはそれもいいかもしれない。
19ヘクタールもある外堀を覆い尽くすハス。
ハスの種類は和蓮で、ほとんどがピンクだが白も混じっている。
ピンクと白のハスが入り混じって咲くのは珍しいらしく、
その規模と美しさから「東洋一」と称されている。
ハスはおよそ1億4000万年前に、すでに地球上に存在していたらしい。
以前、二千年の間、地中に埋もれていた種から繁殖させた
大賀ハス(二千年ハス)を見たことがあるが、ずいぶん生命力の強い植物である。
ガラスのように輝く水玉。
ハスの葉は水をはじいて濡れることはないし、泥水が気孔に入ることもない。
空気は通すが、水は通さない。そういう超撥水素材は現代では珍しくないが、
ハスは古代からすでに身に付けていたんですね。
泥の中から出てくるのに、咲く花はなんとも清らか。
澄んだ水は好まず、むしろ泥水が濃いほど美しい花が咲くという。
つらい環境にあっても、美しい花を咲かせるハスの花言葉は「清らかな心」。
水面よりかなり高い位置で葉を広げ、それよりもまた高く花を咲かせる。
花は夜明けとともに咲いて、午後には閉じてしまう。
閉じても朝になると再び開くことから、太陽や創造、再生の象徴とされる。
花の寿命は約4日間。 4日目の蓮の花はもう閉じることはなく、そのまま散っていく…
これから咲く花。散った花。
花が散った後の花托(かたく)。たくさんの目でこっちを見ているような。
堀の脇にいろいろな品種の鉢が並んでいた。
開く前の姿がチューリップのようだった「天竺斑(てんじくまだら)」。
これは「桜蓮(おうれん)」。濃いピンクが開くと淡いピンクへ。
外堀に架かる西堀橋を渡って。
途中にはベンチもあって、ハスを見ながらおしゃべりしている人も多かった。
花に囲まれていると、皆さん自然と笑顔になる。
優しい花を撮り歩きながら、散歩は後半へ。